不妊治療に保険が適用されるようになることを知り、不妊治療の経験者として思うこと
2022年4月から不妊治療に公的保険が適用されるようだ。自己負担は減るし、助成金の面倒な手続きも不用になる。課題がゼロというわけではないんだろうけど、喜ばしいニュースじゃないか。
不妊治療のニュースを聞いていつも感じるのは、どれぐらいの人が不妊治療に関わるニュースに耳を傾けているのだろうか?ということ。
経験者のカンとしては、たぶん聞いている人のほとんどが不妊治療を過去に経験したことがある人か、もしくは現在治療中の人なんじゃないかと思う。
まぁ、仕方がない。不妊は、自分もしくはパートナーが不妊症とわかるまで他人事でしかない。でも、実際に不妊とわかると焦る。
フツーに子どもができると思っていたのに、なぜか子どもができる気配がない。『どうして?まわりのみんなはすんなりできているのに』
そんな風に思っていると意外に少なくない割合で不妊のカップルは自分たちの周りにもいた。想像していたよりずっと、たくさんの人が悩んでいたんだ。
誤解を恐れずに言うと、不妊治療中は妻の生理がくると残念な気持ちになった。付き合っていた頃は生理が遅れるとヒヤヒヤしていたのに、その頃の自分が恨めしく思う。
ちなみに僕ら夫婦の場合、原因は自分側にあった。精子の運動率が低かった。精子には量や濃度の他に奇形率や運動率などの指標がある。要するに自分は元気のある精子が人より少なかった。元気がないと、子宮まで辿り着ける確率が低いわけだ。
1人目のときは人工授精*1、2人目は顕微授精*2を施した。どちらも成功した。不妊症とわかった時は運が悪いと思ったけど、不妊治療で2人の子どもに恵まれたのなら、自分はすごく運が良い。
それでも、どちらも一回では成功せず、長い時間しんどい思いをした。お金の負担も大きかった。助成金をもらっても、負担した額は100万円を優に超えていた。
繰り返すけど、それでも自分は運が良かった。自分より長い時間とたくさんのお金をかけても妊娠できない人はたくさんいる。そういう厳しい現実がある。
だから、もっと。特に若い人たちが不妊治療に関するニュースにもっと興味を持ってくれたらいいなと思う。難しいだろうけど。そう思うんだ。